「風営法の“接待”って何を指すの?」「お客さんと話すだけでも接待になるの?」――そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
実は、風営法における「接待」は、一般的な接客とは異なる、特定の行為を伴う営業行為を指します。風営法に特化した行政書士の立場から「風営法上の接待とは何か」「どんなお店が風営許可を取るべきなのか」を、わかりやすく解説します。
風営法でいう「接待」とは?
まず、風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では、次のように「接待」が定義されています。
客の求めに応じ、または客に対して歓楽的な雰囲気を演出する方法により、客をもてなす行為。
つまり、単なる接客ではなく、「お客さんを楽しませることを目的とした行為」が“接待”にあたるとされています。
この「楽しませる」というのがポイントで、会話・飲食・遊戯などを通じて、お客が快楽を感じるような行為が含まれます。

接待にあたる具体的な行為とは?
では、どんな行為が「接待」に該当するのでしょうか?
警察庁のガイドラインや判例などをもとに、代表的な例を紹介します。
● 接待に該当する例
- お客の隣に座って会話をする
- お客にお酌をする、タバコの火をつける
- カラオケで一緒に歌う・盛り上げる
- 手をつなぐ、身体を密着させる
- 一緒にゲームをして喜ばせる
- お客の名前や好みを覚えて特別扱いする
こうした行為は「お客を楽しませるために特別な関係性を築こうとする」という点で、風営法上の「接待」に該当します。
たとえ料金が発生していなくても、営業として行われていれば「接待」とみなされることがあります。
接待にあたらない行為の例
一方で、次のような行為は通常の「接客」とされ、風営法上の接待にはあたりません。
- カウンター越しに注文を取る、料理を運ぶなどの一般的なサービス
- 必要最低限の会話(注文確認、会計時のあいさつなど)
- お客と一定の距離を保った対応
つまり、「お客と身体的・心理的に密接な関係を築こうとする行為」があるかどうかが判断の分かれ目です。

接待を行うお店は「風俗営業許可(1号)」が必要
風営法上の「接待」を行うお店は、「風俗営業1号許可」(いわゆるキャバクラ・スナック・ホストクラブなど)を取得しなければなりません。
この許可を取らずに接待行為を行うと、無許可営業となり、罰則の対象となります。
● 無許可営業のリスク
- 【個人】5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金
- 【法人】最大3億円の罰金
- 刑事罰を受ける可能性
- 店舗の営業停止命令
- 行政処分による信用低下
許可を取らずに営業してしまうと、経営者だけでなく店舗責任者も処分対象になる可能性があります。
「うちはバーだから関係ない」は危険!
「うちはバーや居酒屋だから接待は関係ない」と思われがちですが、実際の営業実態で判断されるのが風営法の特徴です。
たとえば、バーのスタッフが常連客の隣に座って談笑したり、カラオケで盛り上げたりすると、接待行為とみなされることがあります。
警察は「形式」ではなく「実態」を重視します。看板に“スナック”と書いていなくても、接待行為があれば1号許可が必要になるのです。

接待行為の判断があいまいな場合は?
風営法の“接待”は非常にあいまいで、現場判断によって評価が分かれることがあります。
「このサービスは接待にあたる?」「風営許可を取るべき?」といった悩みは、専門知識がないと判断が難しい分野です。
そんなときは、風営法に詳しい行政書士に相談するのが安心です。
図面作成や申請書類の作成、警察署との事前相談までトータルでサポートしてもらえます。
接待行為を理解して、安心して営業を続けよう
風営法上の「接待」は、単なるおもてなしではなく、「お客を楽しませる目的で親密な関係を築く行為」を指します。
これに該当する場合は、必ず風俗営業1号許可が必要です。
逆に、一般的な接客にとどまる場合は許可不要で営業できますが、少しの対応の違いで“接待”と判断されるケースもあるため注意が必要です。
法律を正しく理解し、適切な許可を得て営業を続けることで、トラブルを防ぎ、お店の信頼にもつながります。
「うちの接客スタイルは大丈夫かな?」と不安な方は、ぜひ当事務所へご相談ください。
あおい行政書士事務所
行政書士 中村佳織
神奈川県在住。高校生と中学生の二児の母。最近子どもの反抗期に参っていて、己の精神力アップの修行中。
趣味はサウナ・岩盤浴、そしてラーメン巡り。
お酒が大好きなので深酒の届出も大好き。


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